初日

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++++++ 寮は、教室棟から続く連絡通路の先にあるという。 先生と並んで歩き始めた俺は、早速疑問に思っていることを質問した。 「あの、先生。ここって男子校なんですか?」 クラスにも、廊下を歩く生徒にも、女の子が見当たらないのだ。 すると先生は、びっくりしたように俺を見つめた。 「もちろんだよ?だって、新人類は男しかいないでしょ」 そ、そうだった……! 新人類は、Y染色体に突然変異を持った人間のことだ。だから、新人類のための学校であるここは必然的に男子校になるんだ。 自分の馬鹿さ加減に恥ずかしくなっていると、結城先生は追い打ちをかけるように言う。 「ここだけじゃなくて、この島には男しかいないよー」 な……! いくらなんでもむさ苦しすぎる……。 先生が心配そうに見守る中、俺は少しの間感傷に浸っていた。 「あ、そういえば先生」 すこし落ち着いた後、俺は朝のことを思い出して先生に言う。 「このネックレス、一体なんなんですか?」 「あぁ、それね」 先生はそう言うと、すこし言いにくそう切り出した。 「僕達と君を守るもの、とでも言ったらいいかなぁ?」 「??」 このネックレス、そんなたいそうな物なんだろうか。お守りみたいな? 「公開はされていないんだけど、実は僕達新人類は、君達現人類の出すフェロモンに弱いんだ」 「…は?」 俺は、思わず声に出してしまった。 ナニソレドーユーコト? フェロモンって、あのフェロモン? 先生を見ると、すこし恥ずかしいのか耳の先がほんのり赤くなっている。 「だっ、だから、それ必ず付けてないと、危ないからね、分かった?」 朝の先生の反応、じゃああれは……。 思い返すと、こっちの方が恥ずかしくなって、俺まで赤面してしまった。 しばらく無言で歩く。 学生寮棟について、先生はエレベーターのボタンを押した。 エレベーターはすぐ来て、俺たちは乗り込む。 「君の部屋は、603号室。最上階ね、はい、これカードキー」 先生が言って、カードを渡してくれる。黒いそのカードの隅には、シラカワユキと片仮名で俺の名前が刻印されてあった。
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