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途端、スイッチが入ったかのように、俺の身体は力を取り戻した。飛び上がるように立ち上がると、ダッシュで部屋から抜け出して、玄関に向かった。
助かったーーー!
ピンポーン
「はい、はーい!」
俺は、この窮地を救ってくれた訪問者に感謝しながら、扉を開けた。
「悠希ー、飯一緒に食おうぜ」
「優斗?!」
そこには、さっき教室で知り合ったばかりの優斗が立っていた。
「食堂案内してやっからさ。…てお前、顔赤いぞ、大丈夫か?」
言われて、初めて自分の顔が赤くなっていることに気付き、余計に恥ずかしくなる。
恥ずかしさに悶えていると、優斗がゲラゲラと笑って言った。
「用がないなら今すぐいこーぜ。な?」
優斗のその笑い声に、俺は何故だか安心して、うん、と一つ頷いた。
++++++
「ここが、食堂な。カードキー渡されただろ?あれに金が入ってるから、それを使ってここで食券買って、あそこの掲示板に同じ番号が出るのを待つんだ」
俺は、優斗と一緒に食堂に来ていた。注文の仕方を教えてもらい、食券を買う。
迷ったけど、とりあえず日替わり定食Aにしてみた。
隣の食券機で優斗も食券を買っていた。カレーうどんだ。
カレーうどんに目がない隼人を思い出して、懐かしさに顔が少し歪むのがわかった。
食堂はそれなりに混雑してたけど、2人分の席はすぐに見つかった。俺達は自分の食券の番号が掲示板に出るのを見て、カウンターまで取りに行く。
「いっただきまーす」
優斗が、パン、と手を合わせて、早速カレーうどんをすすり始めた。俺も、小さくいただきますと言うと、日替わりのメンチカツ定食を食べ始めた。
「それにしても悠希、お前の部屋最上階だったんだな。すげーラッキーじゃん?」
うどんを口にくわえながら、優斗が言う。俺はピンと来ずに首を傾げる。
「どういうこと?」
そう言うと、優斗は、聞いてなかったのか、と言って説明を始める。
「寮の部屋は、その住人の合計ポイントで決まるんだ。良い部屋になるか、悪い部屋になるかは自分と、同室の奴次第ってわけ。ちなみに、寮の一階が最低ランクの部屋で、最上階の6階が最高ランク。わかりやすいっしょ?」
「ポイント??」
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