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あの後俺は、優斗に送ってもらって部屋に帰った。柊君は部屋にいなくて、俺は少しホッとしながら風呂に入ってそそくさと寝た。
翌日。
昨日の夜、柊君は結局帰ってこなかったみたいだ。なんでなのかは深く考えないようにしながら歯を磨いていると、またインターホンが鳴った。
「よー悠希、はよーっす!教室いこーぜ」
扉を開けると、優斗が立っていた。俺は慌てて口をゆすぎに戻り、カバンを持って外に出た。
「ごめん、わざわざありがとう」
「良いって。朝飯まだだよな?購買で買ってから行こうぜ」
購買でおにぎりを買って2-3へ入ると、何故だか教室はざわついていた。
どうしたんだろうと思いながら自分の席に着くと、前の席で話している声が聞こえてくる。
「今日の一限の英語、リョウらしいぞ」
「うわっ、まじかよ…初っ端からリョウとかついてねー。俺、予習してきてねーよ」
「殺されるぞお前……」
俺は首を傾げる。一限はたしかに英語で、担任の結城先生の担当だったはずだ。何か手違いか、先生の具合が悪いとかで、そのリョウとかいう代わりの先生が来るんだろうか。
それにしても、殺されるって………。
その先生、そんなに怖いのか?
一応予習は昨日の夜少ししたけれど、なんだか不安になってきたぞ…。
優斗の方をチラッとみると、優斗もやや青ざめた顔をしていた。
「あの、優斗、そのリョウって先生ーー」
キーンコーンカーンコーン
その時、チャイムがなった。
途端、皆一斉に、異常なぐらいのスピードで自分の席についた。
そして、同じく異常なスピードで教科書を取り出すと、ページを広げ、背筋を伸ばし、手を膝に乗せ真っ直ぐ前を見ている。
え、な、何?!
軍隊?!
俺は着いていけずに、あたふたしてしまう。
「とりあえず、周りに合わせろ」
横から、優斗の囁き声が聞こえる。俺は、小さく頷くと、鞄から教科書を取り出して机の上に置いた。
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