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終業のチャイムが鳴り、先生が教室から出て行った途端、教室中に安堵のため息が広がった。
「悠希、大丈夫か…?ごめんな、教えてやってなくて」
しばらく放心状態でいると、優斗が心配そうに覗き込んでくる。
「え、い、いや!俺の方こそ、ごめん!優斗まで職員室行かなきゃいけなくなっちゃって」
「そんなの全然良いんだよ!んで早速、ルール教えるな…」
俺は優斗から、リョウ先生の授業ルールを聞く。
その1。先生が入ってくるまでに教科書を開き机の上に置き、姿勢を正して前を向いていること
その2。予習は必ずしてくること。練習問題もちゃんと解いてくること
その3。居眠り、私語、内職禁止
その4。当てられたら5秒以内に答えること
その5。体調不良などで席を立つのを禁止する。具合が悪かったりする場合は、始めから授業に出ない
その6。日直は授業が始まる前に黒板と黒板消しを隅々まで綺麗にし、新品のチョークを白、黄色、赤の三色分しっかりと用意しておくこと
「こんなものかな………」
俺は英語の教科書の空白の部分にしっかりメモる。それから、はっ、と思い出す。
「お礼言わなきゃ」
窓側を振り返ると、しかし栗色の髪の人はいなかった。
「あれ……いない」
「東雲梓か?」
優斗が、尋ねてくる。
「しののめ…あずさ?」
「悠希の、窓側の隣の奴。なんか用あんの?」
事情を説明すると、優斗は、あぁ、と頷いた。
「あいつ、結構教室いねーよ。どこにいるか知らないけど、サボってること多い」
「そーなんだ……」
お礼、言いそびれちゃったな。
今度会ったら絶対言おう。
俺は1人で頷くと、次の授業の準備を始めた。
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昼休み、俺と優斗はリョウ先生に言われたとおり職員室に来ていた。
「な、何言われるんだろ……」
「ば、ばぁか、そんなにびびってんじゃねーよ!」
そう言う優斗も、声震えてるよ……。
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