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はたして、俺の予想は的中した。
「ふぅん……タバコはダメ、ね…」
その途端、ヤンキーさんから伸びてきた腕が、俺の腕をつかんで引っ張った。
グラッと体が傾き、天地が逆転する。
気がついたら、俺は腕を掴まれベッドの上に仰向けに押し倒されていた。
「なっ………!!」
俺に覆いかぶさるようにしているヤンキーさんの顔が、すぐ目の前にある。
ヤンキーさんは冷たい目で俺を見下しながら、口角を吊り上げて言った。
「じゃあ、お前がタバコの代わりになる?」
俺、大パニック。
なんとかしてベッドから出ようとして、バタバタと無駄な努力をする。
「ちょ、は、離して下さい!!」
流石喧嘩してる人、俺の力じゃびくともしない……じゃなくて!!
本当にどうにかしないと、身の危険がーーー。
ガッ。
突然前髪を掴まれて、俺は驚きのあまり動きを止めた。
ヤンキーさんは、そのままぐぃ、と俺に顔を近づける。
「ぎゃーぎゃーうるせぇんだよ。本気で犯すぞてめぇ」
ひっ、と俺は息を飲んだ。
もう無理だ、俺はここで死ぬんだ……。
俺が暴れなくなったのを確認したのか、ヤンキーさんはぱっと俺の前髪から手を離した。
それから大きく舌打ちして、ベッドから降りる。
「気分悪りぃ。帰る」
そう言うと、俺の手からタバコをもぎ取って、保健室から出て行った。
ガラガラ……バタン
「………」
引き戸が勢いよく閉められる音が響いた途端、俺の体はへなへなと力をなくす。
ぐしゃぐしゃとシワの寄ったシーツの上に、俺は休み時間になって優斗が迎えに来るまで、放心状態で横たわっていた。
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