83人が本棚に入れています
本棚に追加
授業が全て終わり、俺はくたくたになりながら部屋に帰ってきた。
帰りにどっか寄ってかないかと優斗に誘われたけど、保健室の一件で疲れ切っていた俺は、ごめんと断ってまっすぐ寮へ向かった。
自分の部屋に鞄を置くと、昨日あまりじっくりと見なかったリビングに行く。
リビングにはテーブルとソファ、そして大きなテレビが備え付けられていて、居心地の良さそうな空間が出来上がっていた。
テーブルの上に置いてあったリモコンでテレビをつけて、俺はテーブルに座る。
「あ、そうだ」
思い立って、俺は制服のポケットをさぐり絆創膏を取り出した。交換するために、余分に保健室からもらって来たのだ。
早速取り替えようと思い包装を破こうとした時、背後のキッチンで冷蔵庫の扉が開く音がして、俺は振り返った。
「……あ」
そこには、風呂上がりなのか部屋着の下だけを着て、首にタオルをかけた柊君が立っていた。
て、また上裸かよ!上裸好きだな!!
「柊君、居たんだね」
「何してんの?センパイ」
柊君は、手に持った2リットルペットボトルを、口を付けないように上手く飲みながら聞いてきた。
「昨日あんまちゃんと見なかったから、リビングとかどうなってるのかなぁーって思って」
「それは?」
柊君は、俺の持っている絆創膏に視線を向ける。
「これね。ちょっと怪我しちゃってさ。俺、ドジなんだよね……はは」
「ふぅん……」
柊君はそう呟いて、何か考え込むようなそぶりをした。
それから突然、
良いこと思いついた
というように、にやっと笑った。
何か良くないことを企んでる気がする…!
俺の、嫌な予感センサーが反応する。
柊君が、俺の向かいの椅子に座って言った。
「センパイ、それ、付けてあげようか?」
柊君が指差すのは、俺の持ってる絆創膏。
「え、いいよ!」
「片手で付けるの、難しくない?俺が付けてあげるよ」
確かに、怪我をしている右手は使えないから、左手だけでつけるのは少し難しい。
柊君が手を差し出すから、俺は観念しておとなしく絆創膏を渡した。
最初のコメントを投稿しよう!