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「じゃ、じゃあお願い」
そう言って、古い絆創膏を剥がそうとすると、今度はその手を止められる。
「俺が全部やってあげるって。センパイは大人しくしてて」
そう言ってにっこり笑うから、俺は思わずドッキリしてしまった。
どうしてだろう。昨日の彼とは、どうにも違う気がする。
もしかして、昨日は人見知りしてただけで、これが本来の柊君なのかな。
なら、優しくて良い子じゃないか!上裸好きの変態かもしれないけど、なかよくなれるかも。
俺がそんなことを思ってウキウキしている間に、柊君は絆創膏を剥がし終わっていた。
「あれ、センパイ。まだ血、止まってないよ?」
柊君が、俺の指を軽く掴み、傷を眺めている。
確かに、血がうっすらと滲んでいた。
「あ、ほんとだ。ちょっと洗ってくr」
「センパイ」
立ち上がろうとした俺の腕を、柊君が掴んで引き戻した。俺は、ストン、と椅子に戻る。
「センパイは、大人しくしててって言ったでしょ?」
そう言う柊君が、俺の怪我した指を口元に持って行くので、俺はぎょっとした。
「ちょ…待って!何してんの?!」
俺の指が、柊君の弧を描いた唇に触れる。
そこから漏れた息が傷を刺激して、鳥肌が立った。
「センパイ、鳥肌立ってる」
「柊君が変なことするから…………っ!」
柊君の唇から、ちらっと舌が見えて、俺の傷をペロッと舐めた。
思わず息が詰まる。たったそれだけなのに、全身に電気が流れたみたいに俺の身体は硬直して動かなくなる。
ちらりと目だけ動かして柊君を見て、それから見なければ良かったと後悔した。
ばちりと目が合う。そらそうとするのに、柊君の視線が絡み付いて離れない。
柊君は俺を見つめたまま、今度はゆっくりと、俺の指の付け根から指先までを舐め上げた。
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