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「んっ………」
さっきまで硬直してたのが嘘のように、俺の身体がびくびくと痙攣しだした。腰のあたりがぞくぞくと甘く痺れて、止めようとしても止まらない。
その間も、柊君は俺から視線を外さない。俺も、柊君から目が離せない。
柊君に見られてる……。
恥ずかしさで頭がおかしくなりそうだ。
でも、そんなことを考えている余裕はない。
「……っ、……っ、」
柊君が舌を動かす度に、ビクンビクンと身体が震える。
声が出ないようにするのに精一杯だ。
「センパイ」
柊君が、俺の指を口に含みながら言う。
口の端から垂れた唾液が、俺の手をツゥ、と伝っていくのがエロ過ぎて、眩暈がしそうだ。
「センパイ、すごいエロい顔してる」
柊君の掠れた甘い声が、脳みそを溶かしていく。
「声出してよ、センパイ」
聴覚、視覚、触覚。俺の五感が柊君に浸食されていく。
「……はっ………っ………」
俺の指を軽く甘噛みしながら、舌をねっとりと動かす。
あぁ……。
もう、ダメ。無理。限界。
「はぁーい、カット」
?!
我慢してた声が、とうとう漏れそうになった時、突然、柊君の抑揚のない声と共に舌の動きがピタッと止まった。
「……へ?」
ぼーっとした頭で柊君を見ると、彼はじとっとした目で俺を見ていた。
「センパイ、つまんない」
「は」
「ここのシーンでは、声出さないとダメなんだってば!!」
はい??
柊君はそう言うと、俺の前に、何か本のようなものをバサッと広げて来た。
それは、台本だった。右上に、『シーン17:介抱』と書かれている。
「これ………なに…?」
嫌な予感がする。
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