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「そういう隼人は何位なんだよ」
邪魔になるので、掲示板の前からはけた俺は、いまだに声を殺して笑っている隼人にむっとして問いかける。
「何回連続でぴったり真ん中なんだよwwマジ天才すぎてwww」
「うっさいなー!何位だったんだって聞いてんだろ」
ひーひー言ってた隼人がようやく少し落ち着いて、俺の質問にようやく答えた。
「19位……ぶぶww真ん中ww」
再び思い出し笑いを始めた隼人に、俺はため息をついた。くそ、こいつなんで頭もそこそこいいんだよ。
「もー気すんだかよ、帰ろうぜ」
俺はそう言って、笑いこけている隼人に背を向ける。
その瞬間、目の前から走ってきた担任に呼び止められた。
「あぁ、良かった、白川君。ちょっと来てくれるかな」
俺は首を傾げる。一体なんだろう。
「分かりました。…隼人、先帰ってもいいよ」
いつの間にか笑うのをやめていた隼人に言うと、隼人はにっ、と笑って言った。
「待ってるよ」
「白川君、職員室に」
「あ……はい」
俺は隼人にありがとうと言うと、担任の後について行った。
++++++
「………………」
俺は、いま聞いた話に空いた口が塞がらないでいた。
担任も、心配そうな顔で俺の顔を覗き込んでいる。
学校に一つだけある応接室。ちょっと高そうなソファに身体を沈めたまま、俺はまだ整理がつかないでいた。
「白川君」
呼びかけられて、思わずびくり、とする。
目の前に座っているのは、40代半ばと思われる痩身の男。優しくニコニコと笑っているが、彼の言葉には何か有無を言わせないような響きがあるのを、俺はこのたった3分ぐらいで感じていた。
ーー3分前
「研究省の海王正樹さんだ」
担任について応接室に入った俺を待っていたのは、嘘くさい笑顔を浮かべた男だった。
「研究省……?」
俺は眉をひそめる。役人が、俺に何のようだろう。
「研究省 人間科学部門管轄 暁学園理事長の海王です、よろしく」
そう言うと、名刺を手渡してくる。俺は恐る恐るそれを受け取ると、制服のポケットにねじ込んだ。
「突然呼び出す形になって、申し訳なかったね」
「いえ、全然…」
警戒しながらソファに座ると、海王さんは早速話を持ちかけて来た。
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