招待状(白川悠希の場合)

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++++++ すっかり夕方になってしまった道を、校門まで急ぐ。校門近くで待っていた隼人が、俺に気づいて手を上げた。 「ありがとう、待っててくれて」 「いいって。んで、なんだった?話って」 俺達は帰り道を、一緒に歩き出す。小学校の頃からずっと一緒に歩いて来た帰り道。こんな毎日が、来年度から変わることになるなんて。 「転校の、お誘い」 俺は、なるべく平静を保ちながら答える。ごめん、隼人、俺は………。 「転校………?」 案の定、隼人は立ち止まった。わけがわからないというように、俺の顔を見つめている。 「どういうことだよ、転校って」 俺も、よくわかんないよ。 「それ、なんか意味あんのかよ」 「………」 そう、意味は… 意味は、あるんだ。 俺が、変わるために。 『君は、自分を変えたいと思わないのかい?』 担任を退出させ、2人で話した海王さんの言葉が蘇る。 『君の平凡さ、ここまで来るともはや呪的だ。これからも、こんな人生を送るのかい?恐ろしく平凡で、平均的で、……つまらない人生を』 俺は唇を噛みしめる。 分かっている。俺の人生は……つまらない。 前から、変わりたいと思っていた。せめて、何か一つだけでもいいから、自信を持てるものがあればいいのに。 でもどうやって?そう考える度に思い直す。 平凡な俺が、自分を変えることなんて、出来るのか? 海王さんの微笑みが、天使のようで悪魔のような微笑みが、俺の目に映る。 『暁学園においで。君はそこできっと変わる』 俺は……… 俺は変わりたい。 たとえ、それが仕組まれた誘いだとしても。 俺は悪魔の顔を正面から見据えて、ただ一つ、頷いたんだ。
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