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ジリリ。
ジリリリリ―――。
カーテンの隙間から暖かな日差しが射し込んでいる。
けたたましく鳴り続ける目覚まし時計へとおもむろに手を伸ばす。
耳障りな音を止めて、時間を確認した。
6:33
後、一時間はごろごろできるーーー。
ぼぉっとした意識で判断する。
朝飯より何より、二度寝直前の微睡みこそが幸せ。このために俺は生まれてきたんだ。
少しでも、幸せを掴もうと太陽から逃れるようにもぞもぞと布団に潜り込む。
「…俺はミノムシ。嗚呼、早く人間になりたい…」
「寝言は寝て言ってね」
声が掛かると同時に体を衝撃が突き抜ける。
布団を一瞬で剥ぎ取られた勢いでベッドから転がり落ちた。
「ぐぇ、、」
「ほら。ちゃっちゃと起きる」
目に刺さるような日差しを避けるように、視線を動かした。
ある一点に視線が固定される。
「……………白」
ベッドの側で仁王立ちしながら、こちらを覗きこんでいた少女が意味に気づくと同時、レバーに拳が突き刺さった。
痛みによって、朧気だった意識が目覚めて、瞬く間に闇に沈んでいく。
ああ、今だけは安らかに。
「…おやすみなさい」
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