第1章

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僕は動かされて、ここから、ココヘ来たのだ。  動く方法は無いのだろうか。何か失敗したのか? 磁石のように底に張付いてるというのでもない。 体が疲れて重くて、動かないという気もしない。 水の流れのような感覚がない。  やっぱり、ここはハードケースの中なのか。 まさか信じられる訳が無いが どうしても、そこに考えが行く。 上から底へ続くような、いつもの失敗。  底に?  嫌いじゃない、好きかもしれないのは 眠ったせいか、気持ちが高揚するからか。 何を、スッキリしているんだ。 手掛かりを探す事に、夢中になる。 いや、夢は覚めた。熱中しているのだ。  回復していく。  慰められたわけでもないし、傷ついてもいない。 土も草も無いけれど、全部が全部ツルツルだけど 寒くも無い、温もりも無い、何も見えない、水しかない。  闇の向こう。  熱中していたのだ、水をかぶって頭を冷やすまでもない。 馬鹿馬鹿しい程、冷静で呆れる。 動きたがっているが、動けるのか? 「動かないほうがいい。しばらく横になっていなさい。  君は熱中症で倒れたのだから。もう大丈夫だから。」  そういう事なのか。 押されたのではなく、搬送されたのか。 だとすればココは、ここなんだ。 だったら。 迷惑を掛けるような失敗だけは  好きじゃない。雨でも降ればいい。
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