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まるで大河のようだと思った。
それまで……今まで見てきた光景のそれは何倍だろう?
自分自身の存在がちっぽけに見える。
呑まれないように気を引き締める。
しかし、慣れない動きに思うように動けない。
どこから現れたのだろうか。
むせかえる。
知らず知らずのうちに体が拒否反応を起こしている。
そんな自分の手を引っ張る者がいる。
視線を追うと、少し前から組んでいる相棒がいた。
彼の存在すら忘れるほど、自分は放心していたのだろう。
相棒は少し呆れたような顔をしていた。
仕方ないではないか。
今まで辺境と言えるような土地に住んでいたのだ。
こんな、こんな……
道を埋め尽くすような人混みなど見たことがあるはずがない。
それを急に見せられ、うまく動けというのが無理な話なんだ。
相棒にそれを伝えると、笑われた。
笑われることなのだろうか?
少しむっとなったが、相手は自分よりも経験者だ。
彼がいたから、この前の仕事もなんとかなった。
改めて自分自身のことがわかった。
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