第1章

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 段々そうなると、こっちも意地でね。 怖がるまでは退かないぞって、トイレに隠れたり 壁に掛かったカレンダーの後ろに潜んだり。  いっそテレビから這い出してみようかと思ったんですが 色々、登場にもネタの利権がありましてね。 テレビや井戸から出現する演出なんかは なかなか、許可が出ないんですな。  で、どうしようかと思ってる内に、人間さんは スヤスヤ寝ちゃってる。ガッカリですよ。 そうして朝が来ますでしょう?  あ、そうそう、そういえばですな。 ツァイトゲーバーってシステムがあるんだそうで。 これはドイツ語らしい。ドイツ行った事ないですけど。  狂ったり、ズレて昼夜逆転してしまう人の生活リズムを 外界からの刺激によって、リセットしてしまう仕組みで。 そうなれば、私共、夜勤の幽霊は仕事終了ですな。 報告書、始末書を出して夜まで、おやすみなさい。  とはいうものの正直な所、よく解ってないんですが。 何かの本で読んだんで、使ってみたかっただけでして。 お化けにゃ学校も試験も何にもない。って歌あるでしょ。 頭悪いもんで、ちょくちょく呪う相手間違えたりね。  ラップ音の1つ2つは大目に見て欲しいですな。 最近、皆さん怒りっぽくて、廊下を這いずり回る音だけでも いきなり壁ドンです。イケメンさんがやるアレじゃなくて。 普通に怒るから怖いですよ。世知辛いですよ。  でも、本当に一番に怖いのは太陽ですなあ。  一応、太陽が昇ったら、建前上は時間切れなんです。 お化けにとっては、やっぱり朝陽は怖いわけです。  え?  皆さんは「月曜日」は怖くないんですか? はぁ、生きてる方々って勇敢なんですねぇ…。 じゃあ、その度胸を見込んで、 また明日の深夜にでも、ご自宅へお伺いします。  お後が宜しいようで。m(_)m テケツクテンツクテケテンテン。
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