第1章

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 一晩中、枕元にいても一向に起きません。 こっちは徹夜で起きるの待ってる。  ジーっと見てますと、鼻毛出てるよとか。 そうこうしてる内に、朝になってしまいます。 寝坊しそうな方を目覚まし代わりに起こしてあげる。  でも、遅刻ばかりを気にして、幽霊を認識してくれない。 1も2もなく、さっさと出かけてしまう。置いてけ堀。 置いてけって言ってないのに、置いてかれちゃう。で、 見ればまだ温もりのあるフカフカな布団。私は徹夜。 ちょっと仮眠でも…なんて、やっちゃた日には大目玉。 上司に小言を頂戴することも、しばしば御座いますな。  怨霊や悪霊は、エリ?トが多いですね。 有名になれば鎮められて祠とか。一戸建てですよ。 平の幽霊なんかは、江戸の昔から柳の木の下です。  酷い現場ですと、真っ暗な海の上とか。 これは通りかかる船を狙う担当で。 実際、夜の海って怖いですよぉ。 本当に真っ暗ですからね。空をみますよ。 星空と月明かりに波の音が、寂しさを紛らわして 不知火さんなんかが遊びに来てくれればね。 舟幽霊としても、心強いんですけどねえ。  どうにも話が脱線していけませんね。  これも愚痴ばかりで恐縮、逆のパターンもありまして 折角、天井や押入れの隙間から覗いてるのに 「怖いから、絶対見ない!振り向かない!」 こういう強情な方もいるもんで。  鏡に映ってるのに、顔洗ってる。お顔サッパリして 歯を磨き始めましたら、しめた!ってんで 鏡を見るだろうって思いますから、背後に立ちます。 …スマホいじってるんですな。最近はこればっかり。 全然気付いてくれない。  折角来たのにですよ?深夜なんてあっという間です。 一度、ちょいとでいいから、振り向いてくれてね 「うわあ。」位、頂戴しても罰は当たらないと 思ってるんですよ。日頃の行いなんでしょうかねえ。  いっそ私もツイッターとかやってみようかなと。 それでフォロワーの誰かを驚かす。 どうしたら驚きますかね。心霊写メでも貼るとか。 自画撮りってやつ。まぁそれはともかくとして。  塩を撒けとか、お札貼れって訳じゃないですから。 2、3分で驚いて頂いて、次の現場に直行したいものの こう粘られちゃうと、残業ですよ。手当てなんか 人間の皆様だって無いってのに、幽霊になんか 六文銭だってくれやしませんから。 三途も渡れない。最近じゃ自分で泳いで帰宅です。
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