第1章

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見上げると、山の柱のように高い樹が風に揺れていた。  宿へ戻ってから荷物を整理して、直ぐに東京へ戻った。 雑誌社の暗室で、写真を現像すると磐屋の中に、 あの老主人が笑顔で座っているのが写っていた。 カラカラという柔らかい陽気な声が聴こえる様に。  現像が終って、写真を持ってデスクに行くと やっぱり、写真から老人は消えていた。  <そして茶を一服してから、締め括って頂いた。>  これでこの話は、お終いだよ。 それっきり記事にするのも、やめちゃったし。 写真は今も持ってるけど、ほら。  視ない方がいいから。
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