九十九神~つくもがみ~

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何も出来なかった…神とは言え、まだ神の子の段階だ。4号室はただ悲しい感情の中で全てを見ていた。 2時間滞在して二人は部屋を出ていった。 神は何かを失ったような寂しい感情を抱いていた。 人間の感情から生まれた分、感情が豊かで人間にも近いのだ。 姫はそれから暫くは店に来なくなった。どんな時も週に一回は来てくれたのに… 神はずっと待っていた。姫に会いたい…あの下手な歌が聞きたい… やがて数ヵ月振りの昼頃に…姫が入室した!! 男と一緒かと警戒した神だが、姫は一人だった。 しかもフリータイムで入室…これは珍しい事だった。 姫が入れた曲を何気無く覗いた神は全てを悟った。マイクを握り、ゴホンと咳払いした姫は歌い出した。 「呪いまぁ~す~!!」 ビリビリと震える程の絶叫… 歌詞からは確かに恨みの感情が溢れていた。 それからは何曲も何曲も続く失恋歌のメドレーとやがて泣き出す姫… 姫は泣いてもマイクを離さなかった… 見守る4号室も苦しくなった… やがて…我慢出来ない想いが膨らんで… 爆発した!! 「バ…か…ニ…スンナ!!」 4号室の想いが声になった!! 姫は気付いた素振りも無く、フリータイムまで 歌いきり…神も共に叫んだ。 ちなみに神も音痴だった…
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