第1章

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弁当にしようと思った途端! チビ猫のペアが飛び出してきた。 やけにバランスが悪いと思った。  おまけに俺の弁当まで食ってやがって。 泊り込むつもりだった、サイドパックから 携帯用食料を出して、食べた。 それにも食いつこうとしやがる。  痩せっぽちでチビのクセに食い意地だけは一人前。 仕方なく分けてやったが、貰う時まで偉そうだ。  夕方前まで湖を見ていた。ペアは木陰で寝ていた。  今日は帰ろう、また来ればいいんだ。 必ず、あの山には登ってみせるけれど。 戻らなくちゃ。婆ちゃんが階段で待ってるから。  戻る支度をしていたら、荷台にペアが飛び乗った。 まさか、シンって呼んだのはオマエなわけないよな?  野良猫は飼い猫を語らない。 飼い猫はノラ猫と話さない。 そもそも猫は喋らん。 でも普遍じゃない。ただの自然だ。  英語で「pea」つまり、エンドウ豆の事だが、 曲がったという意味だ。ひねくれ猫。 でも「奇麗な姿」という意味もある。 俺はこいつの尻尾は嫌いじゃない。  結局、俺が今日やったことは野宿の用意して 日帰りで散歩してきただけだ。 こんなことすら、階段の街ではアウトドア。 消えそうな星明りの気晴らし。でも次は。  ポンポン。  荷台で変な曲げ方のパンチで背中を押す。 エリート気取りで、偉そうだし生意気だ。 夕焼けを眺めながら下り坂を滑って行く。 ペアは荷台で平気で寝ている。 よくまぁ、落ちないもんだ。  いい気なもんさ。
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