第1章

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『8月24日 日曜日 人を閉じ込めていた俺が、今閉じ込められている。 だけど俺は決して悪くはない。 彼女は俺のように激しい抵抗など一切しなかったし、どちらかというとあの日々を共に楽しんでいた。檻から与えられる食事を大人しく食べていたし、入浴のときなどずっと閉じ込めていたわけではない。つまり逃げる隙など幾らでもあった。俺は犯罪者ではないのだ。 早く元の生活に戻りたい。彼女が待っている。 俺に尽くされることを望んでいる。拘束されることを望んでいる。自由に動けない君に、優しい言葉をかけたい。 ずっと、俺の雛鳥。ずっと、俺の原石。ずっと、俺だけのモノ。 ああ、毬奈。毬奈、毬奈、毬奈。 今すぐここを出るから待ってろ』
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