第1章

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 事前の聞き込みで目撃されたという公園の木陰に ワナをはっておいた。ミルクを入れた皿だ。 俺と相棒のオプは、便所の影で見張っていた。  そこに、茶色のマダラな猫が来た。 いまだ!俺は全速力で、捕獲しに飛びついたが 残念ながら逃げられてしまった。  だが、惜しかった。見張りの位置に戻ると 相棒の【オプ】が、灰色&白のアメショ【マロンちゃん】の 写真をくわえている。何か言いたげだが、致し方が無い。 今の猫は大変に素早かった。逃がしたのは俺の落ち度ではない。 しかし次こそは。  そう思っているうちに、またさっきの 茶色マダラの猫(野良)がミルクを飲んでいる。 俺は。俺は。ミルクを飲む猫を邪魔できない。  俺がバーボンを呑むのを邪魔されたくないように! ように!  なんなら、もう一度言っても構わない。 ように!  本日の捜査はこれで撤収する。 だが大きな手掛かりが得られた。 あの公園は、茶色マダラ猫の縄張りである。 従って、アメショの探索範囲を拡げる必要があるだろう。  俺は、地図を見ながらバーボンをグラスに注いだ。 相棒の【オプ】が自分のエサ皿を、こっちへ向けた。  よし、捜索が成功するように乾杯といこう。 そうだろう?【オプ】よ。
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