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さて、話を始める前に断っておきたい事が1つだけある。
今回もしつこいようだが、猫の話である。
何の事だかサッパリ解せぬ。という人は、
そのまま何も気にせずに。
ブラインドから奇麗なラインにデスクを照らす陽射しで
俺のオフィスの雑然とした、埃臭さが浮き立つ。
バーボンの空き瓶。書類と写真というペーパー。
そして、大量の請求書の山。
バーボンとは元々、フランスのブルボン朝に由来する。
最初に作ったのは牧師だともいう。
だから俺はこの神聖な酒を、愚弄するように呑む。
つまりは仕事が上手くはかどらない場合。
この4つの薔薇が描かれた酒は、最高のアイデアを
引き出す事がある。(最善の結果に繋がるとは限らないが。)
で、前置きはお終いだ。俺は探偵である。
探偵が難事件を解決したり、天才的頭脳で密室を見破ったり
そういう事は基本業務として、請け負っていない事は
一般常識のある皆様はご存知だと思っている。
主に、浮気調査とか不倫調査とか行方不明捜索などを
生業としているのだが、俺は特に行方不明における
エキスパートである。
そこで、事前に断っておいたと思うが俺が得意とするのは
行方不明の『猫探し』である。人は俺をこう呼ぶ。
ディテクティヴ・オブ・ネコ。
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ネコだけ英語ではない事に突っ込んではいけない。
世の中には素人が深入りしない方がいい世界もある。
ついでに紹介しておこう。俺の相棒は手足だけが純白で
全く捜査に嘘偽りない、後は全身真っ黒な(腹の中も)
4歳の♂ネコ。名前は【オプ】である。
簡単に紹介すると毛並みを逆撫ですると、異常なほどに
怒る。彼を怒らせたら、もうどんな難事件も解決はできない。
諸君も気をつけて欲しい。
自己紹介がてらに、本日の仕事を説明しておこう。
灰色&白のアメリカン・ショートヘアー(3歳)の
【マロンちゃん】の捜索である。栗色でも何でもない。
俺は最も自分に相応しく、好きな仕事を選んで
命がけでネコを探す毎日だ。
猫が好きなのか、探偵が好きなのかについての
質問は遠慮して欲しい。記念写真もサインもだ。
俺の仕事は常に守秘義務に基づく原則がある。
ちなみに、浮気調査はやっていない。
人間の♂♀がどうなろうと興味は無い。
俺のような天才が関わる事柄ではない。
っていうか勝手に別れろリア充。
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