第1章

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 リンゴをもらった。しあわせ。  ジャブジャブとお池の隅っこで洗う。 頑張って頑張って、偶に余所見して洗った。 そしたらリンゴをくれた人が、洗うのを観てた。 ボクはピカピカになったから、リンゴを見せてみた。 そしたら、くれた人も手を振った。しあわせ。  お芋をもらった。しあわせ。  ジャブジャブとお池の隅っこで洗う。 頑張ったんだけど泥が中々落ちない。 頑張ったんだけど、皮が剥けてきちゃう。 ちょっと焦ってみたりする。 周りを気にしたりする。お芋くれた人が観てる。 何か申し訳ない気持ちなんだけど。  お芋くれた人が、もう少しだから頑張ってって言った。 そうか、皮を剥いてから洗えばいいんだ。 皮が無くなってスベスベになったから、洗いやすい。 ボクはピカピカになったので、お芋を見せてみた。 そしたら、くれた人がお写真撮ってくれた。ピース。 イタリアの黒キャベツもくれたよ。しあわせ。  ジャブジャブ。  白くて奇麗ないい匂いがする、 ツルツルするモノをもらった。しあわせ。  夏で暑いから、アライグマのお池は満員。 みんなの邪魔にならないように、しないといけない。 だから飼育係りさんが、お掃除する時の水バケツで洗う。 しあわせな事に水バケツは奇麗なお水で一杯。 ジャブジャブとみんなと離れて隅っこで洗う。  でも、ツルツル滑って洗いにくい。 これがお池だったら、見失っちゃうから。 つまりバケツで本当に、しあわせ。 落としても拾える。 洗えば洗うほど、奇麗にピカピカになるはず。 リンゴみたいにツルツル。皮を剥いたお芋みたいにスベスベ。  の、はずなんだけど。 確かにツルツルだしスベスベなんだけど。 それはボクの手ばっかりピカピカになって、 洗ってる奇麗ないい匂いの白い四角いモノは どんどん小さくなって。皮が剥けてるわけでもなくて。  泡がいっぱいブクブク溢れてきて。 洗えば洗うほど、アワアワになってボクがどこにいるのか。 お池からみんなもきて、アワアワをつかまえようとする。 ボクをアワアワから助け出して みんなでアワアワを洗っちゃえばいいって言う。  で、キミはどこだい?アワアワ。 え、ボクはここだよ!アワアワ。  アワアワの泡泡はどんどん増えて増えて。 ボクらのお家がアワアワだらけ。 お客さんはアライグマを見に来てるけど 看板にも「アライグマ」って書いてあるハズだけど ここにいるのは、○o。.アワアワ.。o○です。
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