第1章

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 泡の中は、涼しくて暖かくて白く虹色で フワフワだけど捕まえられなくて。 しょうがないから、触れるものなら何でも洗う。 仲間たちも洗いっこする。床も壁も洗う。 手すりだって、飼育員さんの出入りするドアも洗う。 とにかく洗う。何でも洗う。みんなで洗う。  ボクらはアライグマだから。 これは芸術、心も体も暑さの汗もサッパリ爽快。 しあわせ。  飼育員さんが慌てて飛び込んできた。 シャワーでアワアワをみんな流しちゃった。 お池の水も奇麗な水に入れ替えてくれた。 ボクらもピカピカになって、お家も全部ツルツルで 柵の所までスベスベになったんだけど  ボクに白い四角い奇麗なのを投げてくれた人たちは 子供たちで、飼育員さんに物凄く怒られてた。 こんなにピカピカになったのに。かなしい。  でも気がついたら、白い四角いいい匂いの奇麗なモノは 手の中からいつのまにか、全部、無くなっちゃった。 一生懸命、頑張って洗ったんだけど消えちゃった。  リンゴやお芋みたいに丸くツルツルでピカピカに出来なかった。 やっぱりセッケンは奇麗に出来なかったみたい。かなしい。  お空を見た。 フワフワとシャボン玉が沢山飛んでいた。 丸くて虹色で奇麗だった。 ボクはみんな好きだ。 嫌いなモノは洗っちゃえば、好きだ。 しあわせ。
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