1人が本棚に入れています
本棚に追加
現代でいう、東京都文京区にある護国寺の境内や
湯島天神の境内で、見世物小屋にかけて
少しでも借金返済に充てた。
骨の髄までしゃぶるってのも、生きる為に必死と同じ。
雄牛のように、諸々の結縛を断ち切って、象が蔦葛を踏み敷くように
諸々の束縛を踏み砕いて、僕は、胎内へとふたたび
近づき行くことはない。天よしかして。
もし望むなら雨を降らせよ。と。
そうこうして、ついには1779年。
僕が日本に来て51年経った。思えば遠くに来たもんだ。
経緯は様々だったけど、中野の宝仙寺に17両で売られた。
300両から随分と、ディスカウントされたもんです。
それでも、明治、大正には結構、みなさん遊びに来てくれました。
さもあらん、泡沫の夢の如く。1945年にご存知の通り
東京大空襲で、全ては焼けて灰。
の、はずだったのですが、寺が燃えても
象牙だけは真っ黒になりながらも、残ったのです。
現在、再建された宝仙寺では完全に見学も取材も出来ません。
ここは真っ暗なのです。
あの、青い空を見て、静かな森に眠りたいけれど。
極楽浄土は遠く。遠く。
空は蒼く蒼く。
全てが暗いと、その闇の中心にいる気持ちになりますか?
僕はどこまでも響くように、パオーンと泣いた。
最初のコメントを投稿しよう!