第1章

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 やあ、話を始める前に話しておきたい事が1つだけある。 残念ながら、またなんだ。そう今日も猫の話である。 何の事だかサッパリドッキリ解せぬ。という方々は、 そのまま何も気に止めずに。夏目漱石先生とも関係はニャい。  俺は4歳になる♂猫であり、美しいブラックの毛並みが ハードボイルドに相応しいイケメンだ。 ちなみに手足の3割程だけ純白であるのだが これも俺の清廉潔白な心が滲み出ている。 どういうことか?つまり俺の仕事は探偵なのである。 この潔癖な手足は、守秘義務と捜査への本気の証だ。  ちなみに毎晩、酒呑んでデスクで寝てる無骨なオッサンが (自称:飼い主)俺の探偵助手だ。極めて無能である。 従って『猫専門の行方不明探し』しか仕事が無い。 だから、近所の猫達は俺をこう呼ぶ。  オペラティヴ・オブ・ネコ (報酬、手付けは煮干。成功報酬はアジのひらき。)  ネコだけ英語ではない事に突っ込む間抜けが偶にいるが 世の中には人語だけが言語の全てでは無い事を学ぶべきニャ。  失敬。少々興奮するとネコ語がまざる。 また俺だけに限らないが、猫の毛並みを逆撫でする事は やめておいた方がいい。きっと諸君に災いがあるかもしれぬ。 無茶苦茶引っ掻いてやるかも知れない。あくまで「かも」だ。  そんなわけで、この探偵事務所のボスである俺様を 助手のオッサンを含めて、誰もが【オプ】と愛称で呼ぶ。 なに、君も気兼ねする事無く、そのように呼んでくれ。 だが守秘義務に関わるような質問や、フラッシュを使った撮影。 また手の平に墨十をつけた手形のサイン等は遠慮してくれ。  助手が猫探しの仕事しか持ってこない事は 単純にオッサンが無能なだけであり、俺自身は 浮気調査なども巧みに調査出来る。この町のあらゆる 猫事情に常日頃から神経を尖らせているからだ。  まぁ、かなり都心から離れた郊外なので 地形的には把握しやすいのだが、狸や蛇などの 縄張り荒らしにも、詳しいのも自慢だ。  ちなみに密室殺人なども解決できるが、 残念ながら猫は密室殺人はしない。  もし、そのような事態があれば人は俺を 三毛猫ホー○ズだとか、金○一猫助とか呼ぶだろう。 だが猫社会が平和であるからこそ、そのような残忍事件の依頼はない。 人間諸君は猫社会から学ぶべきであろう。  前置きが長くなったが、今回の事件について話しておこう。
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