第1章

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 世界征服をしようと思った。 となると年代は古い方が良いだろう。 相応しい染み模様になるように。 だがアメリカ大陸などを無視する事は好ましくない。  そこで、33枚の地図を参考に作成されたという ピリ・レイスの世界地図が理想的なのだが 羊皮紙の美しさ、そこへテーブルにぶちまける様に 茶から褐色へキャラメルに、午後への陽射しが 埃っぽさと一緒に、注がれていく。  全世界ではなく、インド洋を含む半分を得られないが この際は、致し方ない。半分は神に返そう。  地球征服ではない。世界征服をする。 喫茶店内のしがない王の子には、まったく充分じゃないか。 自分自身が世界と思える範囲だけで満足だ。  マキアートで、染みを与えられるカップ。 光のミルクで、海と大陸が茶色く描かれていく。 ランチ後に頂く熱いラテの一杯に、世界が拡がる。  その奥底まで、飲み干す時は最高の香りと味と 世界中が阿鼻叫喚の渦が、必死で全力のグロテスクが 更にコクと深みを与え、浮かんだ泡粒さえ残酷の極みだ。  美しいアートの世界とその人類を征服しているのだが 良かったら君も、素晴らしき地獄絵図を一杯くらいは 堪能してみては如何か。夢中で仕方が無いと無残に 喧伝している、その本を一旦閉じてしまうと良い。 そして静かに席に着き待つんだ。  観葉植物に気をとられ、呆けていたら世界を世界を零すよ。
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