第1章

2/4
前へ
/4ページ
次へ
 地下旧都市の話は、実はこの街では誰でも知っていて 物凄く一般化してるし、学級新聞ではトンデモ読物的に 扱われている。それが日常。  地震があれば地下旧都市だろう。とか、 台風がくれば地下旧都市だろうとか。とか、 UFOを見た!って人がいても地下旧都市だし。 幽霊がでたぞ!も地下旧都市なんだし。 プラズマで解決できますも、地下旧都市だし。 花粉症が酷いのも、残暑がキビしいのも地下旧都市。 今年の秋刀魚が高いのも、割り箸が奇麗に割れないのも。  私が中3になったんだから、お小遣いUP希望! ってデモしても、お母さんは「地下旧都市」だからねぇ。  なんなのこれ?  そもそも、地下旧都市って方がおかしくない? ない?あ、そう。でもお小遣いは上がらないの!  新聞部で唯一、カメラが扱えたレイジ先輩が 今年ッから高校へ行っちゃった。  この【階段の街】では、大体は皆が『陽海学園』に 通ってるから、レイジ先輩が高等部へ進学しても 校舎は私の中等部と同じなんだけど。  階段が馬鹿長い街を囲むように、校舎も馬鹿デカい。 高等と中等は校舎は同じでも、別階層になってる。 それもこれも階段のせいで、突き詰めると! 「地下旧都市のせいだねえ。」ってなってる。  レイジ先輩が別に特別にかっこいいわけじゃないけど。 私だって結構、中の上か中の中辺りかなって思う。 中の下じゃないって思うけど。中の下かもしれない。  そうじゃなくて、レイジ先輩はそういう目線で見ないって そういう気がするし、カメラとか扱えるからきっと  きっと私を撮ってくれる時だって。 「香乃!学校、遅れるよ!」 お母さんは、何にも解ってない!解ってない! 解って欲しくない! 「おはよう。ご飯は?」 「いらない。行って来まーす!あ、ウインナーロールパン。 これだけ食べながら行くね。遅刻遅刻!」 お父さんを先に越して、学校へ出撃するのが私の意地。  『陽海学園』  この街にある唯一の公立でありながら、 幼稚園から大学まで全てがエスカレーターの学校。 だけど、お金持ちの通うエリート・コンベアじゃない。 ここしかないから。ここへ皆、通ってる。 お金持ちは、力持ちは、この街から出て行っちゃう。 そして、どうなるのかは一切知らない。  この街は巨大な2つの左右に、街を抱きかかえるような 巨大階段がぶち抜いてて、川に集落が集まるように
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加