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彼がこっちを見てる?違う、夕日を見てるんだ。
ヘッドフォンをしたままで。
その彼の横に、羽の生えた水色のボールが浮いてる。
清水陽太(シミズ・ヨウタ)と初めて出逢った日は
これしか会話しなかった。名前を知ったのは少し後。
そして放課後の屋上で、次に彼に会ってする質問が
同じ日の夜に自分の部屋で、ボールを見て気がついた。
一箇所だけ穴が空いてた。何だろう?
ボールみたいで玉子みたい。生き物みたいなくせに
どこか機械っぽい。机を跳ね上げた時もそうだった。
急に引っ掛かるように彼のヘッドフォンを思い出した。
自分のスマホ用のイヤホンを、差してみた。
カチリ。
ぴったりだけど、何も聴こえない。
そう思ったら、まるで拒否されるように
プイッと、ジャックを吐き出された。
「あ、ごめん。……これじゃないんだ。」
違うヘッドホンかもしれない。探なくちゃダメなのかも。
その声を聴く為に。その言葉を知る為に。接続するために。
これは限界を越える為に、誰にでも起こる必須の事。
なんでもない普通の出来事。
つまりコネクト。
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