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リクラッカ王立円形劇場。客席の笑い声も、俳優も誰もいない野外劇場。
リクラッカ城のバルコニー風の謁見台から、舞台を見ることが出来る。
頑強な扉は堅く閉ざされている。扉には花火のような紋様が描かれている。
ミクトランの消息はようとして知れず。国王陛下は厳戒態勢を発令し、
通常軍部だけでなく、国立軍特殊部隊【ReSOCOM】も全面投入された。
(リクラッカ・スペシャル・オペレーションズ・コマンド)
軍事警察、及び市民警察が街のあらゆる警備にあたった。
国民に対しては夜間の外出は、一切禁止されたのだが効果は薄かった。
既に死神ミクトラン手配写真に意味は無かったからだ。
死神の骨を吸いあげた「炎と不幸ショロトル」が、闇夜に乗じて
人間の肉と骨をそのまま、食らうようになった。
警察も軍も既にミクトランの手口とは違い、殺人ではなく
捕食が目的になっている事は、気がついていたが国民がパニックになり
暴徒化する事を恐れた。これも計算の内か。捜索は常に後手一方だった。
さて古い古い話をしよう。あくまでもこの世界に伝わる話だ。
そもそも超古代、最初の太陽を支配した「邪神、テスカトリポカ」の
庇護の下、冥界を思うがままにした「死神、ミクトラン」と先ほど
名前が出た「炎と不幸、ショロトル」は真逆の神であった。
「ショロトル」とは、古代における太陽再生の為に行われていた、
生贄の儀式を嫌って廃止させつつ、現在でも偉大なる太陽神として
崇拝される「風と平和の神、ケツァルコアトル」の双子の神である。
最初の太陽の時。生贄を欲した「邪神、テスカトリポカ」から
太陽を奪回「ケツァルコアトル兄弟」は何度も「テスカトリポカ」や
「死神、ミクトラン」と戦い太陽や人類を守ってきた。
「ショロトル」は「死神、ミクトラン」が人類の肉体を復活させ
転生できぬようにするため、旧時代の骨を隠し持って事から
「ケツァルコアトル」と共に「ミクトラン」の罠をくぐり抜けて、
人類の骨を復活させる為に奪回した。
残念ながら、全ての骨を無事に冥府から持ち帰る事は出来ず、
これによって、人類には背格好や容姿に違いが出たと言われる。
あくまで神話の話である。だが、この続きがある。
神々は太陽の火を絶やさない為に、神自らが犠牲となって
新たな太陽を再生させていた。しかし、ショロトルの番に
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