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彼は太陽の為に犠牲になる事は、覚悟があった。だが仲間達。
とりわ双子の兄弟である、ケツァルコアトルとの別離の寂しさに
耐えられず、大河の如く涙を流し。その涙で両目を流されながら、
大河へ飛び込んで、サラマンダーと化し消えてしまったという。
そのまま「ショロトル」は盲目のまま夜と月の神になり。
弟を失った後も「ケツァルコアトル」と「テスカトリポカ」は
何度も争ったものの、どちらも創造神であるため勝負はつかず。
今も太陽を巡って、双方とも機会を伺っているとも伝わる。
「ケツァルコアトル」太陽に近い金星に、姿を変えたとも云われ、
「テスカトリポカ」煙に化ける黒耀石の短剣に、身を隠したとか。
王妃が王太后である亡き母から、伝えられた巨大退邪方陣を
まず王城に張った。それに被せるように国家全体を更に大きく
ドームで包むように結界で覆った。この方陣を持続させる為に
王妃は現在も王宮の最も秘匿された部屋で、詠唱を続けている。
国王ですら、居場所を知らないはずだ。それしか守る術がない。
民と家族。他の何を失う事があっても、我が身が犠牲になっても。
国王の本来である。神ですら犠牲になるのだから。
太陽、風、平和、煙、邪 死、冥府、骨、大河、月、夜。
足りない無いものはなんだろう?王女ディアスプロは本を
山のように積み上げて、宮廷図書館のど真ん中で一冊読んでは
別の本を手に取る。
外出は当然ながら厳しく護衛がつき、身動きが取れないし、
自室から出ることも適わなかった。だから王城の中にいても
出歩いている事実は変わらない。
父上である国王陛下の考えは間違って居ない。最初の最初から
ミクトラン一味、もしくは現在は何か目的を変えたミクトランは
どっちにしても王女を名指しで、狙っている。
第一種を超える特別厳戒態勢が布かれたのも当然だろう。
どう小さく考えてもテロ予告である。背後にある周辺都市国家群の
影響が露見すれば、戦争も覚悟しなくてはいけない。
母上、つまり王妃が結界持続の為の儀に臨んで、娘も国王陛下も
会うことが出来ない。これは国王自らの厳命でもあり、国王自身すら
これを破れない。つまり、魔法について一子相伝のリクラッカ王家で
ディアスプロ姫の魔術についての相談相手は、いない事になる。
男性は魔術を使えないからだ。
とはいえ、何で男性には使えないのだろうか?
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