第1章

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今の今まで考えて見た事も無かった。つまりは王女様は最も簡単な事に 自覚していないというだけなのだけれど。魔法こそ使えないが 何かと色々頼りになる親友のオスの黒猫、トリックもあの夜。  ”CATBAR”でアリアナ達が襲われた、あの夜から姿をみせない。 この一番大事な時に。何なのよ、もう!と本を叩き閉じる。 図書館では静かにするべきある。  そう、ここは宮廷内図書館である。王女の部屋ではないである。 ディアスプロ姫はここに入ってはいけない。普段なら問題ない。 いまは厳戒態勢下にあるからだ。では、見張りの近衛兵がサボったか。 兵の名誉の為にも、これは否定しておく必要がある。  問題の”CATBAR襲撃事件”はミクトラン一味の犯行で 唯一、死亡した被害者がいなかった事件である。軽傷者数名と これは知られて居ないが、エロリスト、もといテロリストによって 暴行されたわけでもないに、シルクの高級なドレスがズタズタに なって落ちていただけである。ちなみに持ち主は現在も不明である。 世の中には知らないほうがいい事もある。  この事件は入念に調査され審議され、目撃者多数である事から ”CATBAR”は一時的に、無期限閉鎖になった。この期間の 経営、従業員への給金は、国家が負担する事になったのだが。 問題が2つあった。―― 以下、特務調査部によるまとめ。  当日、”CATBAR”はまだ夜のバータイムまで時間があり 客は少なかった。この数名の客は全て常連であり、ミクトランの 手引きをするような動機も考えられなかった。元々ミクトランは 根回しより皆殺しという犯罪傾向しか見られない。 その上で襲撃した犯行現場で惨殺して生存者を残さずに。 愉快犯のように、王女と国家を挑発してきた。  だがこの”CATBAR”の一件は別で、証言によれば 店主を含めて年配の者と、女性だけは老若問わずに厨房へ 監禁しながらも、多少の軽傷のみで無事であった。 とくにウエイトレスの女性は、勝気でミクトランの仲間に対して 縛られたままで、蹴りをいれたと豪語していた。  こういった女性には逆らわない方が良い。その方が国家は 平和であると。いつか国王陛下が隣国の首席を招いた宴席で 冗談を仰られていたが。いやはや。  問題なのは、二人の若い青年である。  1人はステファンス・クリーリス。という。王立学院の院生であり
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