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(…何しているのかな…)
一瞬、逡巡してすぐに思い当たる。
数ヶ月前…
星原さんと知り合ったとき
あのときの様子と瓜二つだ。
…そっか。
高いところの本が取りたいのか。
手伝おうか…。
いや、でも全然知らないヤツにいきなり近づかれたらビビるかな。
本棚の前にいるのは、俺と同い年くらいの女の子。
顔はよく見えないけど、一生懸命本に手を伸ばす様子が、微笑ましくて可愛い。
(…でも)
一向に手が届きそうになかった。
脚立でもないのかと見渡したけれど、近くには見つからない。
おかしいな。
こんな高い本棚があるなら、台を置いているはずなのに。
誰かが持ち出したのかな。
「……」
…よし。
困ったときはお互い様だよな。
「…とろうか?」
怪しまれないよう、なるべく明るい調子で声をかけながら、おれは彼女に歩み寄った。
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