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「…え?」
ビックリしたように肩をふるわせ、女の子が振りかえる。
はずみで、肩にかけていた鞄がするりとすべり、床に落ちた。
中身が辺りに散らばる。
「…あ。ごめん」
おれが驚かしたせいだよな。
慌てて拾うのを手伝った。
教科書やノート。筆記用具。
…それに
(…あ…)
これは……。
「…あ、あの…ありがとうございます」
一通り拾い終わり、荷物を鞄に仕舞うと、彼女は恐縮しながらお礼を言ってくれた。
正面から見る姿。
やっぱり俺と同い年くらい。
もしかしたら、ちょっと年上かも。
はにかむみたいな笑顔が可愛い。
「いやー。おれが急に声かけたせいだから。ごめんねー…」
「い、いえ。大丈夫です。荷物が散らばったのは、私が鞄を閉め忘れたからだし。
手伝ってくれて、ありがとうございました…」
「……じゃ、
もうひとつ、お手伝い…」
「…え?」
おれは彼女の位置から判断して、本棚から一冊の本を抜き取る。
「…とりたかったのは、…これ?」
「……」
彼女が目を丸くした。
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