happy birthday

5/8
前へ
/8ページ
次へ
「…え?」 ビックリしたように肩をふるわせ、女の子が振りかえる。 はずみで、肩にかけていた鞄がするりとすべり、床に落ちた。 中身が辺りに散らばる。 「…あ。ごめん」 おれが驚かしたせいだよな。 慌てて拾うのを手伝った。 教科書やノート。筆記用具。 …それに (…あ…) これは……。 「…あ、あの…ありがとうございます」 一通り拾い終わり、荷物を鞄に仕舞うと、彼女は恐縮しながらお礼を言ってくれた。 正面から見る姿。 やっぱり俺と同い年くらい。 もしかしたら、ちょっと年上かも。 はにかむみたいな笑顔が可愛い。 「いやー。おれが急に声かけたせいだから。ごめんねー…」 「い、いえ。大丈夫です。荷物が散らばったのは、私が鞄を閉め忘れたからだし。 手伝ってくれて、ありがとうございました…」 「……じゃ、 もうひとつ、お手伝い…」 「…え?」 おれは彼女の位置から判断して、本棚から一冊の本を抜き取る。 「…とりたかったのは、…これ?」 「……」 彼女が目を丸くした。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加