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「…どうぞ?」
「…あ、え…と」
「本…とりたかったんだよね?」
「…は、はい」
「それじゃない?」
「…いえ。
あってます…」
そっと手を伸ばし、彼女は俺から本を受け取った。
…ちょっと…密かにホッとする。
「どうして、この本ってわかったんですか?」
「え?
んー、なんとなく…」
「……」
「イメージに合ってたから…」
曖昧な理由だけど、本音。
実際、その本を手にしている姿が似合って、しっくりくる。
…この子…きっと、本とか…物語を読むのが好きなんだろうな。
直感的にそう思った。
「…じゃあ、ありがとうございました。助かりました。
それじゃあ…」
そう言って、にっこり笑顔。
それは、さっきの緊張したような笑い方に比べて、自然で柔らかくて
…可愛いな。と思った。
だから。
「…あ。待って」
背を向けた彼女を、思わず呼び止める。
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