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「例えばカエルと蛇とか蛸と蟹とか色々な恐怖が存在するだろうあの人が怖いだとかあの犬が怖いだとかあの思い出が怖いだとか」
「僕は今君達の恐怖その物だカエルから言えば蛇蟹から言えば蛸」
喜楽や健真、こまっちょはただ震えることしかできなかった。何故かは分からないがこいつが怖いと思ってしまうのだ。まるで小学生が宿題を忘れて怒られているような感覚に陥れられる。それが何故か考える余裕さえ無いほどに恐怖の感情が根付いている。
「さてどう料理しようかな」
「人を…勝手に材料にすんじゃ…ねぇよ」
喜楽のみがその言葉に対抗することができた。だが、それでもその言葉に対抗するのみ。身体を動かすことなどもってのほかである。
「その威勢は評価に値するけど君は今の状況を分かって言っているのかい」
「うるせぇよ…お前の能力なんか…怖くねぇ」
グシャァ!
「君はどうやら侮れないね今ここで殺す」
グシャァ!メシャァ!
「やっと…クローバーが…教えてくれたぜ…能力0化!Coyolxauhqui!!」
一瞬と言う時の事を人は気づかないことが多い。一瞬で人が動くことは出来ず、一瞬で何かを作ることも不可能である。しかしそれでも人は一瞬の時間を大切にした。それを表した言葉が「時は金なり」である。そして糸馬は一瞬の大切さを今身をもって知った。
「終わりは始まりとなるその原理はどの世界も共通だね」
何かの音を立てて崩れ落ちる喜楽。それは終わりであり始まりでもあった。能力の再構築。それがクローバー・ネフィスト・レディアの教えた最後の能力。本当に最後の能力である。
「能力開花。不死鳥の玉翼(ふしちょうのぎょくよく)」
不死鳥とは炎を纏う鳥をイメージする人が殆どだろう。故に喜楽もそうイメージした。業火を纏い空を飛ぶその鳥の姿、まさに神の使いなり。しかし喜楽の能力は不死鳥になる能力とは全く違う能力であった。喜楽は目をつぶっており何があるのか分かっていない。そして手を伸ばした先にあった物。それは鉄であった。冷たく硬い金属。喜楽は恐る恐る目を開け、その光景に漠然とした。
「能力って…こう言うことかよ…」
喜楽が触っている物はコックピットのような物であった。冷たく硬い金属で出来ているのが見てわかる。
「へぇ…面白ぇ。俺の能力はロボットを作る能力に変わっちまったのか」
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