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「待ってよそれは許さないよ」
喜楽は一瞬で敵が攻撃の意思があると察した。故に即座に行動出来た。手にある武器で斬り掛かるが、何故か動けなかった。
「僕が偶々来ててよかったね僕が来てなかったら逃げられてたよ」
「なんじゃ…身体が動かん」
「しかし…少しも動かないわけじゃないですね。でも、あなた…いつ息継ぎしてるんですか?」
「それは身体の不思議だよ僕はただ君達楽ランクを足止めいや殺すために来たんだから」
喜楽は気づいていた。自分が動けない理由に。それはごく小さな糸であった。しかもただの糸ではない。この糸の細さと強度であれば自分達の体は簡単に切れてしまうほどの糸である。しかし切れない。微妙な調整で切れていないのか…それとも既に切れているのか。それだけを喜楽は考えていた。
「さてそろそろ自己紹介をしようか僕の名前は紅断糸馬(べにたちいとま)所属は殺愚楽組のNO.4能力は教えてあげない武器はその糸だよ」
「てめぇが!」
喜楽は一瞬で興奮した。今までその尻尾さえも掴むことを出来なかった殺愚楽組が今ここにいる。しかも狗魔芽違よりも強い。今ここでこいつを殺せば狗魔芽違よりも強いということが立証出来る。そう思ってしまった。
「いい目だねよしじゃあ外してあげる」
糸の束縛がなくなったと同時に喜楽は動き出していた。能力を使わずに突っ込む喜楽はこの世界では馬鹿の一つ覚えであった。勿論そんな攻撃が通じるわけもなく直ぐにアキレス腱を斬られ立ち上がる事が出来なくなった。だが喜楽はその状況を打破する考えを既に出していた。それがクローバー・ネフィスト・レディアの能力を使う事であった。しかし相手の距離は20m程あり断罪桜でも届くかどうかの所である。
「能力…神化…」
喜楽はそういった。ただの能力ではなく能力神化を発動しようとしたのだ。それはまったく無意識の中で発した言葉であり、喜楽はただの能力を発動する気でいた。
「秋桜(コスモス)」
瞬間、身体が飛んだ。敵でも味方でも自分でもない力で喜楽は飛んだ。真っ先には紅断糸馬がいるがそんな事をまるでどうでもいいかのように飛んだ。そして紅断糸馬は自分の勝ちを確信した。何があっても対応出来るように自分の周りにはピアノ線よりも強力で切れる事もない糸を張り巡らせているからだ。喜楽の速度でこれば喜楽の身体はバラバラに切れるだろうと確信していた。
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