君の記憶

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しかし時に人の確信付いた心は油断を招く。そうして紅断糸馬も油断していた。無闇に突っ込んでくる敵の一人くらい簡単に殺せると思っているからこその隙。それが戦場では命取りだと言うことをこの世界の人間は誰しもが知っている事である。 「油断しましたね。殺愚楽組さん」 ズギャァァアアァァアァア!! いつの間にか後ろに立っていた金鎖健真の武器によって糸馬の左腕はなくなった。それは糸を武器として使う糸馬には致命傷であり、罠さえも張れなくなってしまった。そして反省をした。たとえどんな相手であれ実力の全てをぶつけ殺すべきだったと。 「あーあ糸が張れなくなっちゃったまぁこれくらいなら治るからいいかな」 「駄目です。貴方には仲間の情報を吐いてもらいます。これは決定事項ですので」 健真はこの時何かがおかしいと思った。何故こいつは能力を使わないのか?禁止されているから?それとも… 「もう時間稼ぎはいいよね能力を使っても怒らないでよカグツチ」 「能力神化モイラの器」 「逃げ…」 健真はこの時本当に死ぬということを知った。以前の戦いで白石神帆と殺りあった時にさえ感じることがなかったこの感情を健真は何なのか分からなかった。故に少しの不安が心を過った。 「死ぬということがどういうことか知りたいよね」 「ひっ…!」 思わず健真は慄いてしまった。今健真に戦う意思は存在しない。今ある感情。それは恐怖そのものである。こんな感情を持ち合わせるほど健真は弱くない。しかし今は恐怖の感情しか存在しなかった。 「僕の能力モイラの器は相手の恐怖そのものになる能力だよ恐怖は人を動かせなくするからね」
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