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大学へ着き、拓也と別れた私は、図書室へと向かった。目当ての本を見つけ、読みふける。
「50gのラベンダーから、2mlのアロマオイルが作れるのね」
日の光を浴びながら、一人ブツブツ口にする。
「おはよー」
バラの香りが微かに香ったと思ったら、同じサークルの美加だった。
かのクレオパトラが愛した香りは薔薇。それを知ってから美加もその香りを愛用している。
「おはよう。今日は早いのね。」
「ちょっと読みたい本があって、少し早めに来たの。
それより、見かけたわよ。朝から二人仲良く登校してたの」
「やだ、美加見てたの?!声かけてくれたら良かったのに」
「そうも思ったのだけどね、‘イランイランがどうちゃら’って聞こえてきたからやめちゃった」
美加が何か言いたげな様子で、ニヤニヤしながらこっちを見る
「もう!美加まで」
拓也とそういうことがないわけじゃない。
でも、やっぱりそういう話題は少し恥ずかしくて、何となく赤くなってしまう。
「イランイラン、良いと思うけどね-。あれって、媚薬でしょ?」
「うん。
拓也もどういう風なのか興味があるみたい。
だから、今度イランイランのアロマを焚こうって……」
「拓也さんったら、そうなんだ。」
美加はそう言って寂しげに笑う。
「そういえば、美加はその後、彼とどうなの?」
社会人の彼がいる美加は、最近なかなか逢えないことを寂しがっている。
「うん、まぁね……
ねぇ、それより民子、今度サークルで水蒸気蒸留装置作るって」
「そうなの!? 今ね、それに関する本を読んでいたところなの。家でもアロマオイル作れないかな、って思っていって。うわぁ!嬉しい!」
「‘これで、イランイランのアロマオイル作れる!’って民子が喜んでたこと、拓也さんに告げ口しちゃおう!」
「みーかー、その告げ口はナシだからね。
っていうか、わたし、イランイラン作るなんて一言も言ってないし」
「うそうそ、民子ウソだよ。機嫌直してー。ね?!お願い」
ここが図書館だと言うことを忘れ、二人して笑い声を上げてしまったら近くで勉強していた子が、こちらを見て睨んでる。
「「ごめんなさい」」
そうして、美加と私は図書室を後にした。
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