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美加が彼と正式に別れたことで、私たち三人はよく行動を共にするようになった。
失恋した美加を寂しがらせないよう、拓也が気を遣い美加と一緒に並んで歩くようになった。
私は、拓也のその優しさを信じながら、拓也の横を美加に譲り、一歩退いて拓也たちの後を歩いていた。
拓也と美加は楽しそうに話している。
たまに拓也が私を気にするように振り返ってくれるがそれでも、まだ直ぐに美加と共に話を続けてしまう。
「民子、悪い、先に図書室へ行っててくれないか?
美加ちゃんと後から行くから」
「わかった。……どこへ行くの?」
「直ぐに済むから、先に行ってろ!」
これ以上、拓也を不機嫌にさせるのも、と思い一足先に図書室へと向かう。
暫くして、彼ら二人がやってきた。
「……拓也、こっち……」
小声で、拓也に声を掛けるが、拓也はそのまま少し離れた席へ美加と一緒に腰掛けた。
拓也と少し距離が出来てしまったように感じる。
美加と仲良くすれば、拓也はまた昔のような拓也に戻ってくれるかな
私が美加を良く思わないから、代わりに拓也が優しく接しているのかも知れない。
私さえ我慢すれば……
私が強く変わればいいんだ……
図書室から出た後、静かに二人の後をついて行った。
その後拓也は、部活へ。
私と美加も、サークルへと向かう。
「美加、今日はどのハーブでアロマオイル作る?」
図書室までの事が無かったかのように、美加に笑顔で問いかけた。
「民子はイランイラン試したら?拓也さんもきっと喜ぶよ。
私は彼と別れちゃったけど、民子にはうまくいって欲しい」
「美加……ありがとう……
ねぇ、美加、美加はちゃんと睡眠とれてる?大丈夫?」
「うん、大丈夫よ」
それ以上聞かないで欲しいというそぶりで、美加は踵を返し、他のサークルメンバーの所へと行ってしまった。
サークルが終わる頃、もう一度美加に声を掛けた
「美加、夕飯うちで食べていく?」
「うん、ありがとう。哲也さんは今日遅いの?」
「どうかな?ちょっと聞いてみるよ」
哲也に言われたことを実行するため、仲が良かった頃のように美加に対し振る舞った。
美加も嬉しそうにしている。
これで、大丈夫だ。何とか頑張っていける。
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