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夕飯に唐揚げとサラダ、そして、美加が煮物を作らせて欲しいと言い出した。
ここでまた一瞬、私の心の虫が騒ぎ出す。
――なんで?また手料理食べさせたいのかな――
「うん、わかった。拓也肉じゃが好きだし、じゃぁ、煮物お願い」
いざ、夕飯作りに取りかかろうとしたとき、美加が言い出した。
「民子、ゆっくり座ってて。私、唐揚げとサラダも一緒に作るから。ご飯も炊くからいいよ」
「え?……でも、二人で作った方が楽しいよ?」
「でも、ここのキッチン、二人並ぶと狭いし、それに拓也さんに言われたの。今日の料理は美加ちゃんが作れって……」
その言葉を聞いて、もう限界だった。
ここは私と拓也の家、そして、このキッチンは私の城そこに、どうして貴女が彼女のような態度で振る舞うの?
美加、私と拓也のこと応援してくれるって言ったよね。
貴女のその言葉、全て私と拓也を引き裂くことにしか聞こえない。
心がどんどん荒んでいく。
美加に対して、思わず醜い言葉を吐き出しそうになった。
――仲裁してくれようとしてくれてるのよね?
それとも、二人の仲を裂こうとしてるの?
貴方なんて、いてもいなくても変わらない!この役立たず!――
ふと、我に返った……
夢の中のワンシーンが頭を横切る
あ、私、あの人と同じ事言ってる……
その夜、またあの夢を見たが、今までと少し違っていた。
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