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音一つしない静寂の中――
「隠さないで…もっと桃花を見せて」
「だって、恥ずかしい…」
――二人の鼓動が重なる。
同じ、なめらかな肌。
同じ、柔らかな膨らみ。
同じ、与え合う快感――
ゆらりゆらりと溶けていく。
「桃花…ずっと一緒にいようね」
彼女は私の手を掬い、左手の薬指に優しくキスをした。
…もう、淋しくない。
怖くなんてないよ。だって、ずっとあなたがいてくれるから。
「小夜子…綺麗…ずっと私の側にいて」
その夜、
私たちを包み込むように、温かな桃色の雪が舞い降りた――。
END
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