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歳美姉さんの次の攻撃に備えながら頭の中で考えていた。
(三身を使い一気に勝負をつけるべきか……)
「くっ!」
考えていたら隙を狙い、歳美姉さんは笑いながら刀を振るって来た。
その斬撃を間一髪で刀で弾き交わし、距離を取って再度身構え歳美姉さんに言った。
「今度は、こっちから行きますよ!」
「面白い!私への愛がどれ程の物か見せてみろ剣聖!はははっ!」
また訳の解らない事を口走る歳美姉さんの目を見てニヤリと笑い、床を思い切り蹴り刀は鞘に収めたまま間合いを一気に詰めた。
そして完全に歳美姉さんの懐に入った所で抜刀しようと柄を強く握った。
「速い!歳美!!」
見ていた勇音さんも驚いた様子で歳美姉さんに慌て叫んでいた。
「良いぞ剣聖!溢れんばかりの愛がビシビシ伝わってくるぞ!だが、まだ足りないな?ふふ」
歳美姉さんには間合いを詰められ最早、刀を抜く余裕……時間など無い筈なのに何故に笑う……
(えっ!!)
「うらぁぁぁ!吹き飛べ剣聖!!」
驚いた事に歳美姉さんは抜刀しようとする俺刀の柄を足の裏で抜けない様に上から抑え、直ぐに軸足を床から放しジャンプして強烈な蹴りを首に入れて来た。
思わず右腕を上げガードしたが、蹴りが凄まじかった為に少し首に入り頭がクラクラし床に膝をついた。
(ヤバイ……意識が朦朧とする。女の人の蹴りかよ。くそっ)
「どした剣聖!貴様の愛はその程度か!立て!」
(さっきから真剣勝負なのに愛だとか言ってふざけてばかり……馬鹿にするな!)
歳美姉さんが真面目に勝負してないと思った俺は怒り『三身』を使う事に決め叫んだ。
「本気にさせた事を後悔しないで下さいよ!」
「後悔などするか!……端っから、こっちは本気なんだからな!って恥ずかしい事を言わせるな!むむっ、やはり許さんぞ剣聖!私の赤らむ顔を見た事を逆に後悔させてやる!」
何だか話がかみ合って無いし互いの本気の意味も違う気がするが、気を取り直して三身を使う為に頭の中で念じ集中した。
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