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◇◇◇
なぜか今、私の部屋に男が横たわり寝ている。
一度も男など入れた事なかった私の部屋になぜ男が居る……
「やっちまったぁ!!」
答えは至って簡単だった。何故なら私が自分で運んだのだから。
「何でこうなった!考えろ私!」
確か勇音さんに自ら志願し別部屋に放り投げる為に運んだ筈が、何を血迷ったか自分の部屋に放り込んでしまった。
そうしたのには理由があった筈だ……
「何だったっけ……確か引きずりながら……もっとこの男を知りたいとか思って調べる為に放り込んだ気がする……そうよ!羽織りは歳美さんのじゃなく本当は屯所内不動の一位の可愛さを誇る、私の羽織りを盗む筈だった事実を聞き出す為だったんだよね?……うんそうよ!」
「違いますけどね……」
「うわぁぁぁ!貴様、いつから起きていた!」
「やっちまったぁ!!からですけど……」
「なるほど。って事は最初からね……では私の恥ずかしい独り言を余す事なく全て耳に入れたのね?」
「まぁそうですね」
「良かろう。では死に行く前に名を聞いて置こうではないか。さぁ言え!」
「月影剣聖っす。けど死にたくはないですけどね……」
「黙れ!私の恥ずかしい秘密を知った以上は生かして置かない!覚悟を決めよ剣ちゃん!」
「…………どさくさに紛れ思い切り、あだ名で呼びましたよね今?」
「はっ!……貴様どんな術を使った!なぜか剣聖なら剣ちゃんでしょ!とか思ってしまった!くそっ!新撰組一番隊組長であるこの沖田総子ともあろう者が!やはり剣ちゃんは斬る!」
「沖田総子?って沖田総司じゃなくて?やっぱり女の子ですか……って言うかまた違和感なく剣ちゃん言ってますけどね」
「こんなに可愛い娘を目の前にして総司とは何だ!剣ちゃんの目は節穴か!」
「……可愛いのは認めますけど。何だかなぁ」
「何だかなぁ。とは何よ!私でがっかりか!剣ちゃんのバカ!」
殺したい程に愛しいとは、この事か!と私はキュンキュン熱くなる胸を左手で鷲掴みにし抑え込んでいた。
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