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これは修羅場な予感が……
そう思っていると歳美さんに刀を添えられている総子チャンがゆっくりと立ち上がった。
「総子!死ぬ覚悟は出来たんだな!」
総子チャンの首に刀を添えたままの歳美さんが怒鳴った。
「それはこっちの台詞ですよ。私とやり合う覚悟は出来たんですね歳美さん!」
「背後を取られた状態で偉そうな口を聞くじゃねぇか総子!」
「ふふ。私の背後を取ったからって勝った気ですか?舐めないでくれます」
見るとニヤリと笑っていた総子チャンは腰に差す刀の柄をギュッと右手で力強く握っていた。
(背後を取られた状態でどう反撃するのか見たいけど止めなきゃ!)
慌て二人を止めようと、また脚が縛られているのを忘れ立ち上がった為にまたしても後頭部から床に激突してすっ転んだ。
「ぎゃあああ!頭がぁ!!」
情けない悲鳴を上げて、のたうち回った。
「剣聖は何を遊んでいる……はぁ」
歳美さんが苦笑いしそう言って俺の方を見た瞬間に総子チャンの目が見開いた。
歳美さんに出来た僅かな隙をつき、物凄い速さで刀を抜き身体をクルリと反転させた総子チャン。
「あらあら。歳美さん背後を逆に取られちゃいましたね?ふふふ」
「総子てめぇ!!」
「死んで下さい!」
そう叫んだ総子チャンの顔が鬼に見える程の表情に変わっていた。
(本気か総子チャン!駄目だ!!)
「総子チャン駄目だ!止めるんだ!」
「えぇぇ!何でよぉ剣ちゃん」
俺が叫んだ瞬間に総子チャンの顔は先程の可愛いらしい表情に戻り、歳美さんに振り下ろした刀は首のギリギリで止まっていた。
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