函館の地。

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夜景を見ながら思わず「綺麗だなぁ……晴れてて良かった」と呟くと、隣に居た若いカップルからまたしても「クスッ」と笑われた。 (一人が、そんなに悪いかよ!言っとくけど幼稚園と小学校低学年の時はモテモテだったんだからな!舐めんなよ!) と心の中でカップルに向け言い訳をしてから夜景を見ながら、ふと考えていた。 (そう言えば小学校低学年が終わってから一気にモテなくなったな……モテ期終了ってヤツかな。けど人生三度はモテ期ある言うしなら後一回はあるし来年は彼女と来たいな……) そんな昔の栄光を思い出し夜景を眺めながら苦笑いした。 そして夜景も充分に堪能したし明日はお目当ての『五稜郭タワー』に行く為、旅館に戻る事にした。 だが、その前に先ほど笑って来たカップルに呪いをかけて置く事にした。 (旅行が終わったら別れてしまえ!そして幸せは続かないと思い知るが良い!はははっ!) とカップルの破局を盛大に祈りつつ函館山を後にして旅館へ戻った。 旅館に戻ったが明日の『五稜郭タワー』が楽しみで眠れなかった為に外に出た。 旅館にある少しライトアップされた庭園に立ち足下に目を向けたら調度良い木の枝を発見したので拾い手に持った。 そして拾った枝を腰に沿え、まるで刀を抜く様な構えを取り神経を枝に集中させた…… 『月影流抜刀術……月風!!』 そう叫んだ瞬間に、まるで鞘から刀を抜刀するが如く振り抜いた枝は空を斬り辺りの木々の葉を『ざわざわ』と鳴らしながら葉が無数に辺り一面に舞った。 「うん。絶好調だな」 こんな人技とは思えない事を平然とやってのける俺は自慢じゃないが『月影流抜刀術の免許皆伝にして師範代』なのだ。 そして『月影流抜刀術』とは我が月影家が代々継いで来た特殊な剣術だ。 しかし、この抜刀術だけは無く俺には誰も知らない特殊な能力が生まれつき備わっていた。 その特殊な能力とは『三身』と呼ばれる能力だ。 と言っても能力の名は自分で考え付けただけだった。 そして何故に『三身』と名付けたかは、それは…… 三分間だけ自分が思う場所の身体能力を一時的に超人的にアップさせる事が出来る能力だからだった。
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