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ツルペタじゃないのに一人、顔を真っ赤にし照れている意味の解らない勇音さんを見ていたら……
またしても居なくなったと思っていた、ちっちゃい奴が走り現れた。
「待たせたわね……えっと……剣聖(ケンヒジリ)さん!」
どうやら『聖』の別の読み方を知らないらしい千草は堂々と人の名前を間違えて叫んでいた。
「どうでも良いがケンセイだ!ケンヒジリって何だよ!」
「二択を迫る様な名前が悪いのです!」
「全然二択じゃねぇだろが!むしろ剣聖でケンヒジリと読む奴がレアだろ!」
「じゃあ私は特別……いや選ばれし者と言う事で宜しいか?」
「選んだ名前間違えて、何が選ばれしだ!おととい来やがれ!」
「ムムムッ!照れ隠しとは言え、度重なる好きな娘いじり!もう許せるけど許さない!」
何だか疲れて来た俺は何気に千草の格好を良く見たら……
どうやら出て行ったのは俺を倒す?成敗?する為だった様だった。
なぜなら千草はその小さな身体に明らかに合わないサイズの、あの新撰組の羽織りを纏っていて手には木刀が握られていたからだ。
だがサイズが合ってない為。手は袖に隠れ、自分の背より大きい羽織りは床にビッタリくっ付いていた。
「どうでも良いが羽織りブカブカだぞ?恥ずかしくないか?」
「こ、これは……私が成長しても着れる様になっている為でして」
千草がどうでも良い言い訳をしていたら勇音さんがあっさりと「それ歳美の羽織りね」とバラした。
そのバラされた千草が赤面したのを見て「あっ!あぁぁぁぁっ!!」といきなり声を大に叫んだ勇音さんだった。
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