11/28
前へ
/100ページ
次へ
「餓鬼!そこは任せた!」 裕司は二人に武装兵を任せ、坂平達の後を追う。 しかし、坂平親子は既に非常階段の扉を開け、中に入る最中だった。 銃を撃とうにも扉が鉄製な為それが盾となっている。 扉はすぐに閉まり、鍵が掛けられた。 「クソッ!」 閉められた扉を怒り任せに蹴りつけるがビクともしない。 「…チッ。」 今回の依頼は聖月の保護が優先だ。 裕司はそう言い聞かせ仁と聖月の元へ戻っていった。 「裕司!あのジジイ共は?!」 「わりぃ、逃した。」 裕司が戻る頃には既に敵を殲滅させていた。 元々モニタールームにいた兵は3人程しかいなかった為すぐに片付けられたのが事実だ。 「ハルも待ってる事だし…屋上に行こう。」 「あぁ。…聖月。足、大丈夫か?」 撃たれた足はそのうち回復するだろう。 だが、撃たれたという痛覚はあるはずだ。 仁は聖月の足を労わる。 「お前…わざと撃たれたろ?」 あの状況で聖月が突然暴れて逃げ出したところで捕まるのは簡単だ。 だが、タイミングを考えれば恐らく時間稼ぎをしたとしか考えられない。 しかも、聖月が撃たれたことにより脱出をする際足手まといになるはずだ。 撃たれる事を全て計算に入れての事だったと思われる。 「だからって、自分をそう簡単に傷つけんな。」 コツンっと聖月の頭を裕司は軽く小突いた。 「人の肩にナイフ刺した人がいう言葉?」 「あん時は悪かったって…。」 聖月に言われ、バツの悪そうな顔をする裕司を見た仁は苦笑いをした。 「ほら、とっとと屋上に行こうぜ!」
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

114人が本棚に入れています
本棚に追加