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「はぁ。それが依頼ですか?」
『えぇ。初仕事のわりに難易度が高いけれどその分報酬は高くするわ。』
秋風が次の冬の訪れを知らせる月。
星空が一望出来る春日市内の中心部の高いビルの屋上に一人の大柄な男が誰かと会話していた。
奥二重の三白眼。
頭を坊主にした厳つい顔つきのその男はまるで刑務所から出所したばかりの元・極道の様にも見えた。
元・極道と言うのは間違っていないだろう。
彼は紛れもなくその世界に足を踏み入れていた人物だ。
今はその世界とは違う《社会》に足を踏み入れたのだ。
「明日、社長にもその事を伝えときます。」
『お願いね。…ねぇ、本当に社長 《彼》でいいの?まだ若いんじゃない?』
電話越しから少し心配そうに聞こえてくる女性の声に男はフッと口角を上に上げた。
「心配しないでください。《あいつ》は社長の器に向いてます。それは俺が保証しますよ。」
『…フフッ。《裕司》君がそう言うなら信じるわ。じゃあ《あの子》の件お願いね。何としてでも連れてきて頂戴。』
「任せてください《雪》さん。」
スマフォの通話を終了し、《瀬戸 裕司》は輝く星空を見上げた。
「ひと雨降ってきそうだな。」
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