114人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな彼を見て小さく溜息を漏らすと裕司は本題に移る。
「お前に聞きたいことがある…春日生物学研究所。あれを爆破させたのお前か?」
「…ちょ、裕司。何をいきなり言い出してんの?」
仁が目が覚めた時にやっていたニュース。
多数の死者を出した大事故をこのか弱そうな少女の様な少年がやっただなんて何を夢を見ているのだろうと一瞬耳を疑った。
「仁。こいつが装備していたブツは?」
「へ?あ、あぁ。ここにあるぜ。」
社長机の上にあるのは44オートマグナム、サバイバルナイフ、ウエストポーチ。ポーチの中身には無理矢理詰め込んだ手榴弾が二つ。
まるで戦争でも行ってくる予定だったのかと言うような武器装備だ。
それにしていても、こんな細腕でマグナムなんて撃ったら骨が砕けるのではないのだろうか。
マグナムは反動が強すぎる。素人の一般市民が扱うには難しい代物だ。
「《氷野》さんからあの研究所で作っているモノを破壊してくれって依頼があったんだ。」
自分達を贔屓してくれている人物から便利屋としての初依頼が決まっていた。
それを目の前の少年が破壊したとなればせっかくの仕事を横取りされたと思ってもいい。
裕司はタバコに火を付けて一服しだした。
「お前なんだろ?《長元 聖月》君よ?」
「………。」
早朝からクロノスの事務所に向かってくる青年がいた。アシメにした髪型に赤茶に染めた《木之本 治利》は元気良く事務所の扉を開いた。
「おーす!瀬戸に秋月ぃ!!暇だったから遊び来たぞー!」
「……ぁ…。」
治利が目の前で見た光景は二人のガタイのいい男が一人の美少女を無理矢理押さえつけている姿だった。
「…お前らなにやってんダァァァ!?」
「違う!これにはワケが!!」
「…はぁ。」
仁と裕司は長元 聖月と言う少年を倉庫にあった紐で縛り上げ噛みつかないように口にガムテープを貼り足首に隠してあった小型ナイフを取り上げた。
「…全部取り上げてなかったじゃないか。」
「わりぃ。」
「何で下も着替えさせなかったんだよ…。」
「…わりぃ。」
まさか足にまで装備しているとは誰も思わないだろう。一体この少年はどんだけ身体に武器を隠し持っていたのだろうか?
最初のコメントを投稿しよう!