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屋上には一機の黒いヘリがエンジンをかけたまま待機していた。
その側には治利が仁達を待っている。
「あ!」
屋上の端にある出入り口から三人が姿を現した。
仁達だと把握した治利は安心した表情を浮かべた後、駆け寄った。
「姫ぇ!!」
仁に抱き抱えられていた聖月に勢い良く抱き付いた。
「い"っ!」
「バカ!聖月怪我してるから抱き着くな!」
「え!?うそ!?ゴメン!!」
怪我をしているなんて知らない治利は仁に言われ直ぐに離れ、聖月に謝罪をする。
撃たれた足は既に血は止まっておりカサブタが出来ているが疼痛は続いている。
「姫!すぐ手当てしないと!!」
いくら再生が一般の人間よりも早いと言えど怪我人は怪我人だ。
治利は聖月をヘリまで連れ、大声である人物の名前を呼んだ。
「雪さーん!聖月の足怪我してます!!」
「雪さんだと!?」
その人物の名前にいち早く反応したのは何を隠そう《瀬戸 裕司》だ。
治利に呼ばれ、一人の白いワンピースを着た、髪の毛の長い女がヘリから姿を現した。
「…へ?」
目の前の女性の顔を見た瞬間だった。
その場にいた仁、裕司、聖月までもが驚いた表情で固まった。
「ぅ~ん…俺も初め驚いたけど。」
やはりというように治利は三人の表情を見て苦笑いだった。
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